くるまのなかで
私の本心に、奏太はホッとしたように微笑んだ。
「うん、俺もそう思ってる。だから、今度は俺たちが由美のこと応援しよう。由美にしてあげられること、してあげよう」
「うん……あ」
心に希望が感じられたところで、私はあることを思い出してしまった。
「どうした?」
「私も由美先輩に酷いこと言ったの、思い出した。どうしよう謝らなきゃ」
その時は何も知らなかったし、売り言葉に買い言葉で、結構辛辣に棘を刺した気がする。
その後の彼女の話が衝撃的すぎて放心していたから、忘れていた。
「ぷっ……くくく。あははは」
突然奏太が笑い出す。
左手は私の右手を握ったまま、右手でハンドルの上の方を掴み、その手の甲に額を置いて肩を揺らしている。
「なによ」
「前から思ってたけどさ。梨乃と由美って、似てるとこあるよな」
「えっ、どの辺が?」
顔って言ってくれたら嬉しいけど、残念ながら“キツめ”というところ以外は似ていない。
性格だって、素直で明るい由美先輩とは全然違うと思う。
「言うこととか、笑いのツボとか、怒るポイントとか、気にしてることとか。二人とも、今なら学年の垣根もないし、いい友達になれるんじゃない?」
「真面目な話してるのに、からかわないでよ……」