不良の俺とクールな後輩

「麻耶の、力になります。」




「何が力だよ。」




「お前はちょっと黙ってなさい。」




奏さんの厳しい声に俺は背筋が自然に伸びるのを感じた。




「辛いこととか俺には分からないけど、俺が力になりますから。」




力になるというのがどういうことか分からなかったけど、なぜかそう思った。




「うん。ありがとう。」




奏さんが笑うとその横で大輝が不機嫌そうな顔になった。




ほんとに親子かよ



似てないにも程があるだろ



大輝も両親に似て美形な方ではあるけど、性格とかは正反対に見える



それとも奏さんや佳奈子さんも本性を隠してるだけで中身は違うのかもしれない



どっちにしても俺はこの家族のことをあまりにも知らなさすぎた。




「これで麻耶も安心だな。」




奏さんの声が明るく部屋に響いた。



俺は裕也のことは最後まで言えなかった。




2人が家族だと思って慕ってる「ハル」が裕也を殴ってたなんて言ったら、俺はここにはいられない気がした。




奏さんと大輝はなぜか言い争いを始めた。



もちろんニコニコ奏さんが優勢なんだけど、息子らしく大輝も負けていない。





俺はと言うと頭の中がごちゃごちゃ



裕也が学校を辞めたと思ったらそうなるように追い込んだのは麻耶の元彼で



そうかと思えば麻耶のグループは上下関係がある実力主義で



しかもそれを統括しているのは麻耶の両親がトップを務める暴力団



今日はなんか盛りだくさんすぎて俺はもう何が何だか分からなかった。





< 103 / 107 >

この作品をシェア

pagetop