精一杯の背伸びを





 わかってた。


 彼が容姿だとか、器量で人を判断しないことなんてわかってた。


 彼がそんな人だったら、私はこんなに好きになっていなかったはずだ。


 でも。


 それでは、何を頑張れば良かったのだろう?


 できないことを一つずつ減らしていくこと以外に。


 できることを一つずつ増やしていくこと以外に。


 それ以外に私にできたことは何なのだろう?


 何を頑張れば、こんな風に泣かないで済んだのだろう?


 彼女を選んだ、彼は間違っていない。


 でも。


 それでも。


 それでも私を選んで欲しかった。


 しゃがみこみ、膝に顔を埋める。


 自分の幼さにドキッとした。


 こんな幼さない私に彼を掴むことはできない。



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