イケメン弁護士の求愛宣言!
「そうなんですか?」

真斗さんを振り回すなんてさすが。

私なんて、心を見透かされているばかりなのに。

「そう。別れたのは、真斗が留学中の間だったけど、かなりせいせいしたんじゃないかな」

「へぇ……」

それなら、なんで今さら美織さんに会ったりするんだろう。

カフェでお茶だなんて、別れてせいせいした相手としなくていいんじゃないかと思うけど……。

「というわけで、オレはそろそろ事務所に戻るから。グチを言いたくなったら、いつでも電話してきて」

と言って先生は小さなメモ用紙を出すと、そこへ電話番号とメアドを書いて差し出した。

「え?」

それを受け取っていいのか迷っていると、先生は伝票を手に取り「じゃあ、また明日」と足早に店を出ていった。

お礼もそこそこに、メモ用紙はバッグにしのばせる。

「電話してって言われてもね」

ため息をつきながら、さすがにそれは無理だと思う。

でも先生と話をしたおかげで、気晴らしにはなった。

そのうち、真斗さんに美織さんのことを聞いてみよう。

そんな風にやっと前向きになれたのもつかの間、次の日の仕事で真斗さんはなぜか思いきり冷たい態度を取ってきた。

「分からないこと? そんなのは、秀一にでも聞けばいいんじゃない?」
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