恋が都合よく落ちてるわけない

「あの…」
私は、仁志さんと向き合った。

「いいたいことがあれば、言えよ」


「うん」


「ああ、やっぱり、いい。何も言うな。聞きたくない」


「えっと…西川さんって」


「ああ?」仁志さんが変な声を出した。


「どうしたの?」
私は、驚いて仁志さんの顔をじっと見る。


「千鶴は、あの、おやじがいいのか」


「おやじ?西川さんのこと?」


「ああ」

「西川さんは、おやじじゃないよ。
落ち着いてるし。真面目だし。
走って人をつかまえたりしないし。

彼は、まだ疑われてるの?」


「何とも言えない」

何?その中途半端な態度、余計不自然じゃあないの。


「西川さんが隠した、メモリーカードの在りかが分かったら、
西川さんの、疑いは晴れるの?」

仁志さんは、
気の毒なくらい分かりやすく驚いた。

「メモリーカードって、お前、
どうしてそれを?」


やった!ビンゴだ!!

西川さん、
いつもメモリーカード使ってたから。かまかけたたけなんだけと。


「もしかしたら、
証拠が出てきたら、
専務の立場が無くなるから、
出せないの?」


仁志さん、動揺してる。私が、
何か知ってるって思ったんだ

「お前、何言ってんだ?」


また、当たり。

でも、メモリースティックを見つけても、西川さんには渡せない。

どこで何してるのか、陽子さんも知らないって言ってた。


問題は、誰に渡せばいいのかだ。
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