恋が都合よく落ちてるわけない
「仁志さんは、会長派なんだよね?」

「それがどうした」

「やっぱり違うな…」
どうしよう。西川さんに会えれば一番いいのだけれど…

「その、メモリースティックが見つけられたら、西川さんに会える?」

仁志さんの表情が、みるみる雲っていく。


「そんなに会いたいのか?
千鶴を捨てて、違う女と結婚したんだぞ!!」



「それとこれとは…ちょっと、
何するの…」

私は、仁志に口を押さえられ、
床に倒されていた。


何?

どうしたの?

仁志さん?

ええっ?


「あんな、おやじがいいなんて言うな」

口を塞がれてた手は、わたしの頭をしっかりとつかみ、唇は、唇で塞がれた。

ちょっと、私、まだあなたに聞きたいことがあるのに。

仁志さんは、体重をかけてキスをしたので、苦しくて何だか分からなかった。


「重い…ってば…」
と訴える私を無視して、キスを続けた。

仁志さん?
あなただって、
私に、聞かなきゃいけないことがあるんじゃないの?
< 112 / 196 >

この作品をシェア

pagetop