恋が都合よく落ちてるわけない

トイレのドアが開いて、中から奥田さんが出てきた。

こっちに向かって歩いてくる

「 大島さん、返すわ」
リボンがほどかれ、、
箱が横向きになっていた。

自分より、先に中身を見られたのに、無性に腹がたった。

「他には?何も出てこなかったの?」

「ないわ」
駄目だ。我慢できない。
敵わない相手でも、やり場のない怒りを
頭突きして兄達にぶつけてきた。

「そんなはずないじゃない、わざわざこんな大がかりなことして。何にも出ないってどういうことよ」
私は、構えの姿勢に入る。


「あなたに、教える義務はないわ。トイレでやったこと、公にするわよ」


「そんなもの信じるものですか。
さあ、証拠を出しなさい!!」


仁志さんは、私が飛び出す前に、自ら前に出て、体を入れてかばってくれた。



「奥田さん、こっちも、だいぶ調べが進んできてる。人に危害を加えると、余計な罪も増えるんじゃないのか」


「酷いのはその女も同じよ」

そう、言い捨てて奥田さんは出て行った。



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