恋が都合よく落ちてるわけない
会いにいこう
「どうぞ、座って」

「あの…すみません。突然お邪魔して」
さんざん迷って、やっぱり訪ねることにした。

「いいのよ。千鶴ちゃんが来てくれるのは、大賛成だもの。」


私は、陽子さんの所へ来ていた。

「一応、出産間近の妊婦さんだし」

「心配してくれてるの?ありがとう。
私も家にいるから暇なの。来てくれてうれしいわ。それで?」


「用事という訳ではないんです」
陽子さんがニヤっと笑った。

「そう。じゃあ、ちょうどよかった。赤ちゃんのものいろいろ揃えたいんだよね。買い物ツアーにでも行きますか?荷物もってくれる?」

「嫌です」


「何よ。用事ないんでしょ?」

「ないことはないです」


「じゃあ、早く言っちゃいなさい、ほら」


「私…どうしたら、いいんでしょうか」


「あら、どうしたのかしら?」


「仁志さんに、嫌われたかもしれません」


「須田君が?千鶴ちゃんの事を?」


「はい」

「それは?何か千鶴ちゃんにとって困ることかしら?」

「たいして困らないと思ったのに、そうじゃないみたいです」

「あらら」
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