恋が都合よく落ちてるわけない
終章

仁志さんは、自宅を改装するためだと言って、このところ私のアパートに入り浸っている。

「こういうところで、新婚生活したいと思って…」

「どうして?立派な家があるのに」

「だって、狭いとすぐにつかまえ易いし、場所がないからくっついてなきゃいけないし。あとは、部屋の温度を30度に上げて、ずっと薄着にさせとくか」

「そんな暑い部屋じゃ、近寄るのもいやになるわね、きっと」

「なんだ、千鶴は夢がないな」

「そんな夢なんか、いりません。抱きしめて欲しかったらそう言えばいいのよ」

「俺が口にする前に、
そうしてくれればいいのに」

私は、仁志さんの後ろから抱きしめた。

「本当に面倒な人、でも大好き」
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