恋が都合よく落ちてるわけない
「今日はこの間みたいに、
勤務中じゃないから…遠慮しないぞ」
「うん…」
彼は、私の体を、
服の上から指でなぞって言う。
シャツのボタンが、片手で器用に外され、そこから、
大きな手が入ってくる。
「まだ、泣いてるの?」
彼は、私が泣き止むように、
おまじないのようなキスをする。
「泣かなきゃいけないほど、
俺のこと好き?」
「そんなこと言ってない」
手に力がこもる。
「でも、顔にちゃんと書いてある」
それをキスで読みとるみたいに、
唇をちかづける。
認めるのは難しい。
「違う」本当はどうなのかわからない。
「なあ、あの夜のこと覚えてるか?」
「あの夜のことって?」
「お前、こうやってキスするみたいに両手で俺のほほを挟んで…」
「うそよ…止めて」
「止めない。
どうして私を選んでくれないの?
わたしじゃ、ダメ?って可愛かったぞ」
「違う。それ私じゃない」
「いいや、今みたいに形のいい胸がピッタリ俺の胸にくっついてるし」
私は、須田さんから離れようとした