恋が都合よく落ちてるわけない
昼過ぎの和やかな会議室の空気が、
一瞬にして凍りついた。


「なに考えてんですか」


午後一番に始まった会議だから、
落合君は半分眠っていたと思う。


「言いたいことは、僕も同じだけど、
過ぎたことを、
とやかく言っても仕方がないよ」

といつも冷静、平常運転の岡崎さん。
軽く笑みまで浮かべて話してる。



「だから、そうやって
甘やかすから付け上がるんだ」
とうちのチャラ男君。


付け上がる?誰が付け上がってる?

いったい、
今の批判はどっちに向けられたのか、
悲しいかな、
課長と私は、お互いを見あった。


こっちにきてから、
意見らしいことを言わない、
うちのチャラ男くんが、
いきなり感情をあらわにしたから、
驚いた。


驚いただけじゃなく、
課長は怖じ気づいた。
あ~あ、ただでさえ、
ガラスのハートなのに。


「怒ってるよね?怒ってるよね?」
とあまりにも気にするので、


「早く説明してあげて下さい」


「あっ、そうだね」

「だから、パスワード8桁のうち、
半分の4桁を年月にしてんのは、何で?」

落合君は、イラついていた。



「腹立つんだよね。
せっかくシステムの安全の為に
やってんのに、
運用で台無しにしてるの」



「僕らもそれは、わかってますよ。
で、でも、現場で8桁のパスワード何か、
覚えられるかって怒鳴られると…」




「それがどうしたんですか」
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