~Still~
「ちゃっかりしてるわね!」

エレナは、ガラス張りの店内からふと外に眼をやった。

その時、背の高いスラリとした女性と眼が合い、ガラスの向こうの彼女が立ち止まった。

口をわずかに開き、エレナを凝視している。

耳を見せた、ショートヘアのこの女性は確か……。

女性は僅かに会釈すると、店内へ入ってきて、エレナに眼を止めて微笑んだ。

「こんにちは。高宮理恵です」

颯太の店に来た、出版社の女性だ。

「こんにちは」

エレナは小さく頭を下げた。

理恵はエレナの全身を素早く一瞥すると、唇だけを引き上げた。

「こんなに素敵なエレナさんがお店にいると、更に売り上げ上がりそうですね」
< 121 / 351 >

この作品をシェア

pagetop