~Still~
「ケイレブよ!ケイレブと話して自分の気持ちに決着をつけない限り、エレナの心の傷は消えないと思う」

何度もそうしようと思った。

けど、やっぱり怖かった。

一緒に暮らしていた部屋に、憎しみを置いて去った相手に、エレナは怯えているのだ。

恋人だったのに。

愛し合っていたのに。

いや、愛し合っていたと思っていたのは自分だけだったのか。

だとしたら、どんなに恐ろしい事だろう。

ある日、突然捨てられたら。

あの苦しみを、もう味わいたくない。

今度捨てられたら、私はもう耐えられない。

「暗い話はここまで!さあ、飲むわよ!」

「ほんとほんと!私の話よりさ、二人はどうなのよ?」

エレナは咲希と亜子を交互に見ると、グイッと生ビールを飲んで笑った。
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