~Still~
けれど、まるで離すまいと決心したように、颯太はエレナの手を強く掴んでいる。

エレナは何だか、胸が高鳴るような、苦しいような感覚がして落ち着かなかった。

ただ、颯太の大きな手から熱が伝わり、温かかった。
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YU-GEYAは、ミッドタウンから徒歩数分のカジュアルな居酒屋である。

颯太とエレナが到着した時には、まだ数名しか集まっておらず、貸し切りにした奥の座敷はガランとしていたが、全員が集まった頃には隙間なく席が埋まった。

エレナは颯太の左隣に座っていたが、彼は右隣のメンバーと何やら楽しそうに談笑していたので、彼女はテーブルを挟んで丁度正面に座った隆也を見て、口を開いた。

「テキーラ飲めるの?」

隆也は苦笑しながら答えた。

「正直、飲んだことはない」
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