~Still~
「ムカつく」

颯太は眉を寄せた。

「何にですか」

「何に?!」

エレナはちょっと笑った。

それから声を荒げて、持っていた服を颯太に叩きつけた。

「その馬鹿丁寧な喋り方も、六年前から恋人はいないと私に嘘をついた事も、愛してるって、私を抱いた事もよ!」

エレナの声が震えた。

「高宮理恵さんが、ここに来たわ。この家のキッチンで、コーヒーを淹れてた。まるで自分の家みたいにね」

「エレナ……」

颯太の声が掠れて、エレナは更にイラついた。
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