~Still~
「エレナさん」

エレナは、ベッドメイキングを終えると、手を休めることなくスーツケースを開けた。

クローゼットの中の服をベッドの上に投げるように置くと、ハンガーを外し、ひとつづつ畳んでスーツケースに入れる。

……なんだよ。

颯太は、こっちを見向きもしないエレナの態度に、苛つきに似た焦りを感じた。

考えるよりも早く、エレナの手を掴んで彼女の動きを止める。

「触らないでよっ!」

「なんなんですか?!」

エレナは、颯太に軽蔑の眼差しを向け、睨み付けた。

「何って?!それはこっちの台詞なんだけど」

掴まれた手を思いきり振り払いながら、エレナは颯太の眼を見据えた。
< 235 / 351 >

この作品をシェア

pagetop