~Still~
「ちきしょう!」

楠木健斗は火酒をあおった。

『あなたとは、合わないのよ』

そう言って、うんざりしたエレナの眼差しが忘れられない。

『そんな女、こっちから願い下げだ!』

健斗は、後悔していた。

会えないもどかしさ、想われない切なさから、エレナに吐いた数々の暴言を無かったことにしたかった。

「うっ!」

火酒とは、よく言ったものだ。

一気に流し込んだストレートのウォッカが、焼け付くように痛い。

「エレナ……」

健斗は力なく自宅のテーブルに突っ伏すと、エレナの笑顔を思い出しながらその名を呼んだ。
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