~Still~
颯太は、エレナの手を繋いだまま数分歩き、和食処『旬彩・響』の暖簾を潜った。

「いらっしゃい!……あら、颯太くん!」

割烹着を着た可愛らしい女性が、颯太を見てにっこりと笑った。

「瞳さん、こんばんは。響は?」

「もちろんいるわよ。響さん!颯太くんがおみえよ!」

「颯太!」

奥の生け簀から鯛をすくいあげた響が、颯太を見てニヤリと笑った。

「仕事は上がりか?来いよ!今日は良い鱧が入ってる」

颯太は弾けるように笑った。

「手に持ってんのは鯛なのに、お薦めは鱧かよ!」

すると響は、大きな声で笑いながら颯太を睨んだ。
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