俺たちの妹・2
カチャ……


「え?みぃ?」

玄関のドアを開ける音に慌ててひな兄の部屋から出てきた葵。

「みぃ、どこ行くの?」




そして冒頭に戻る訳で……


「葵が出てくれないなら、私が出て行く」


「ちょ、みぃ待って」


私は追いかけてくる葵を無視して、家を飛び出した。



エレベーターまで走る。


「みぃ、走るなっっ」




その声を背中で受け止めながら、どうしても足は止められなかった。


エレベーターの前に着いてボタンを何回も押す。



早く来て………



ようやく着いたエレベーターに乗り込もうとした時、後ろから腕をギュッと引かれた。


驚いて振り返ると葵だった。



「間に合った………
みぃ、落ち着いてっっ‼︎
今の状態で外になんて出たら倒れるよっっ」


葵からは普段見られない焦りと怒りが見えた。


「あのまま葵と一緒に居たらずっと葵に甘えちゃうもん。葵にずっと側にいて欲しいって思っちゃうもん」


私の言葉を聞いた葵は、さっきまでの怖い顔をやめて、にっこり微笑んでくれた。

「そう思ってくれていいんだよ。俺はみぃの側に居て、甘えてくれる事が嬉しく思うんだから」

「こんなの嬉しく思うなんて変だよ……迷惑でしょ」


「迷惑なんて思わないよ。俺もずっと一緒に居たいって思ってるもん」


葵の言葉を聞いて、なんだか今まで殺気立っていた気持ちが落ち着いて、入っていた体の力が抜けてきた。


「…………ほんと?」


「ほんとだよ」


「…………良かった」




突然目の前が真っ暗になって、立っていられなくなった……


「みぃっっっ‼︎‼︎」


私の意識はここで途絶えた。
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