俺たちの妹・2
「あぁ……こりゃ酷いな……」

気づいたら兄貴が後ろにいた。

「兄貴、もう来てくれたんだ。ありがとな」

「みぃの為だし、問題ないよ」

兄貴も俺も、美晴には無条件で構うからな。

「この波が引いたら、行くか」

「そうだな。俺が抱き上げるから、兄貴は運転よろしく」

「任せろ」

吐き続ける美晴を介抱しながら、次の行動を決めた俺と兄貴。


「美晴、病院に行くからね」

そう言ってそっと抱き上げる。

美晴は俺に抱かれながらも縮こまり、揺れから耐えているようだった。


エレベーターで駐車場まで行き、車に乗り込むと、ゆっくりと車を出発させた兄貴。

車体が揺れないように気をつけながら、運転してくれている。

「ひな、にぃ……は、く」

「ここに出していいよ」

聞き逃しそうな程小さな声は、拾ってあげなきゃ美晴が辛いからな……


ケホケホ…ウッ…オェェェ

美晴は俺が用意したバケツに吐いた。


病院まで、ずっと吐き気に耐えた美晴は病院に着いた時にはすでにもう、ぐったりしていた。


これ以上酷くなる前にどうにかしないと、大変な事になるので、車は兄貴に任せて、救急外来へ急いだ。

「日向。こっちこっち」

俺を呼んでくれたのは救急の小林先生。

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