俺たちの妹・2
『俺のだからな』

の意味を込めて、みぃの肩をそっと抱き寄せる。

俺ってこんなに心が狭かったっけ……

そんな事を思いながらも、無自覚なみぃには諭しても無理だろうし……

ほんと参ったな……

「あ、葵……みんな見てるよ……」

「見せてるの」

「え〜恥ずかしい…」

今度はみぃが頬を赤く染めた。


はぁ………


こんなみぃも独り占めしたいと思う俺ってやっぱり心が狭いのか……


「みぃ、行こうか」

「うん」

俺とみぃの会話を聞いていた周りの人たちは、ゾロゾロと道を作ってくれた。


少し歩いて人集りを抜けると、

「朝から沢山の人に会ったね」

みぃの嬉しそうな言葉に思わず苦笑い。

「そうだな。でも、誰にでも付いて行っちゃだめだよ?」

「もう、小さい子どもじゃないんだから分かってるよ」

「や、そうじゃなくて……」

「それに……」

「それに?」

「知らない人と二人きりにはなりたくないよ」

そう言うみぃには、いつもの笑顔はなかった。

去年の事がまだトラウマとして、心の奥底に残っているみたいだ。

「そっか……。
悠斗と石本さんの存在はありがたいね」

「うん。私は二人のお邪魔虫だけど、でも1人になれないの…」

「俺が二人にお願いしてるんだから、みぃは気にしなくていいの。みぃに何かある方が俺や悠斗達も嫌だからね」
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