今日も鈍感な君に振り回されて



『なぁ…由香。

 俺さ、お前のこと、避けたい訳じゃないんだ。

 ただ…お前の扱いに…っていうか、お前への想いをどうすればいいか分かんなくて…。

 気付いたら、無意識なのか意識的になのか、そういう態度取っちゃうんだ…』





『…ねぇ、諭?
 一つ、聞いてもいい?』



由香の言葉に、俺は唾を呑み込む。



『……何?』

何を聞かれるか、怖い。

何を言われるか、不安。


けど、ぶつかんなきゃダメだ。






『諭……

 私のこと、嫌になったから避けてるんでしょ?

 ……そうだよね?

 それとも違う理由があるの?』




ちょうどその時、月明かりが俺達を照らす。


さっきまで雲に隠れてたくせに、ひょいっと差し込む光が明るすぎて、俺の不安に満ちた顔が由香に見られないか…更に不安になった。



 

 
『ちゃんとした理由、あるよ。
 俺がお前を避けるようにしちゃう、ちゃんとした理由…』




『………何?』



月明かりに照らされた由香は今にも泣きそうな顔をしていて。


その顔に何故かドキッと胸が鳴る。



なんか見慣れた由香じゃなくて、由香は由香でも違う人に見えた-…



それほどまでに綺麗な顔、だった-…





< 23 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop