今日も鈍感な君に振り回されて
『なぁ…由香。
俺さ、お前のこと、避けたい訳じゃないんだ。
ただ…お前の扱いに…っていうか、お前への想いをどうすればいいか分かんなくて…。
気付いたら、無意識なのか意識的になのか、そういう態度取っちゃうんだ…』
『…ねぇ、諭?
一つ、聞いてもいい?』
由香の言葉に、俺は唾を呑み込む。
『……何?』
何を聞かれるか、怖い。
何を言われるか、不安。
けど、ぶつかんなきゃダメだ。
『諭……
私のこと、嫌になったから避けてるんでしょ?
……そうだよね?
それとも違う理由があるの?』
ちょうどその時、月明かりが俺達を照らす。
さっきまで雲に隠れてたくせに、ひょいっと差し込む光が明るすぎて、俺の不安に満ちた顔が由香に見られないか…更に不安になった。
『ちゃんとした理由、あるよ。
俺がお前を避けるようにしちゃう、ちゃんとした理由…』
『………何?』
月明かりに照らされた由香は今にも泣きそうな顔をしていて。
その顔に何故かドキッと胸が鳴る。
なんか見慣れた由香じゃなくて、由香は由香でも違う人に見えた-…
それほどまでに綺麗な顔、だった-…