だって好きだから
 最後の直線、私はただ全力で足を動かしていく。
 足が震えても、胸が痛くても、私は拓馬に勝つために全力を注ぎ、今の拓馬との距離に想いを馳せる。
 その想いは血の滾りのように激しく、私の鼓動はますます早く、そして強くなる。

 今、私たちの距離はどれくらいなのかな?
 私は、拓馬とどれくらいの距離ならずっと笑ってられるのかな?
 ねぇ、拓馬なら……この答え、わかるのかな?
 ラスト一〇〇メートル、私はただその答えが知りたくて、地面を強く踏みしめていく。

『負けられない。だって、詩穂のこと――だから』
 ほんの後ろ、拓馬がまた何かを呟く声がした。
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