午前0時の恋人契約



「昨日は接待で忙しかったからレポート送れなかったって言ってるだろ。え?すみれ?あぁ、送って行っただけでなにもない」



ところが聞こえてきた『レポート』の言葉と私の名前。私の名前を出すってことは……電話の相手は恐らく、桐子さんだろう。

会社の人なら私を『市原』と呼ぶだろうし、そういえば以前、毎日のことをレポートにして提出させてるって桐子さんが言っていた。



話の内容から恐らく、昨日はそのレポートを忘れてしまったことを責められているらしい。

さすがに昨夜のキスのことはレポートにしないよね……。桐子さんとの話なら尚更、聞いていいのか迷う。



「だーかーら!なにもないって何度も言ってるだろうが!社長の立場で従業員を冷やかすな!」



戸惑う最中、聞こえてきた大きな声にビクッとしてしまう。



び、びっくりした……。

貴人さんのその言葉から、電話の向こうの桐子さんが『接待ってことは夜遅かったんじゃないの〜?アンタ、手出ししちゃった?ねぇねぇ、教えなさいよ〜』と冷やかす図が簡単に想像つく。



それにしても貴人さん、社長相手に強気だなぁ……。

そこもまた貴人さんらしいといえばらしいけれど……そう感心するように聞いていると、彼からは深い溜め息が吐き出された。



< 136 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop