午前0時の恋人契約
「それで、実はここだけの話……」
イライラとその姿を見ていれば、そのうち津賀はなにやらこそこそとすみれに顔を近づける。
さすがにそんな光景を見れば、イラァッと湧き上がる怒りに、俺は後ろから津賀の頭をガシッと掴んですみれから引き離した。
「ぎゃっ!」
「津賀。時間だぞ、仕事しろ」
「痛い痛い痛い!痛いです岬課長!仕事しますから!やめて!」
怒り力任せにその頭を掴む俺と、痛がり声を上げる津賀。そんななにげないやりとりを見て、周囲の社員たちもあははと笑う。
そんな中で、困ったように笑うすみれが、またかわいくて。
あぁもう、独り占めしていたい。そうまた一層強く思う。その気持ちは抑えきれず、こぼれだす。
「おい、すみれ。今夜は空けとけよ、デートするぞ」
「あ、はい……って、え!!?」
驚き声をあげたすみれに、津賀を始め、周りの社員も全員が同じように「え!?」と声をあげる。
そんな反応がおかしくて、つい笑った。
君は、俺のおかげで変われたと笑っていた。
けど、君のおかげで変われた俺もいるんだ。
なにげない日々が、瞬間が、幸せだよ。その笑顔さえ、ここにあれば。
そんな日々を過ごして気付いたんだ。
ずっと見つめていたあの瞬間から、俺は恋に落ちていたんだろう。
午前0時を越える度、その想いは一層強く。
end.


