ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
そんな私の耳に、中谷さんの言葉が飛び込んで来る。


「……響、もっとゆっくり話がしたいの」


遠慮がちな。
それでも否とは言わせない、そんな矛盾を孕んだ声。


襖の外から聞いているだけでも、ドキッと心臓が騒いだ。


「……座談会、もう直ぐ始まるぞ」

「終わってからでいいわ。ちょっと時間をちょうだい」


押しの強い中谷さんに、響さんは黙っている。


頷いたのか、考えているのか、それとも私に聞き取れなかっただけなのか。


とにかく、会話が途絶えたこのタイミングを逃す訳にいかない。


トントン、と控えめに二度ノックした。
そして、一瞬の間を置いて、私は少し躊躇いながらドアを開ける。


「……あの。準備整いましたので、お隣に移動お願いします」


それだけ言って目礼すると、ドアを開けたままで二人に背中を向けた。


「……じゃ、後でね」


響さんに短くそう言う中谷さんの声が、なんだかやけにクリアに耳に届いた。


どうしても気になってほんのちょっと目線だけ振り向かせると、中谷さんが響さんの腕にポンと手を置いていた。


ドクン……と、またしても心臓が大きな音を立てた。
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