ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
それは、話題の最後……。
『仕事に打ち込む自分を支えてくれる時間、物』という質問項目に対しての答えだった。


須藤さんは既婚者で、当たり障りなく、『やっぱ家族ですかね』とちょっと照れながら話した。


その次に話を振られた中谷さんは、そうですね……と呟くように言った後、一度大きく深呼吸した。


「さっきも話しましたが、私はミスを犯してからずっと、それを挽回する為に頑張って来ました。
だから、今の私を支えているのは……あの時私に結婚という逃げ場を与えてくれなかった彼への恨みみたいなものです」


口調はとても穏やかだ。
だからこそ、他のメンバーはそれほど深刻な表情にならない。


だけど響さんは一瞬テーブルの上でピクッと指を震わせた。
私もせり上がってくる胸騒ぎを感じながら、中谷さんの横顔に視線を上げた。


「一番辛い時に私の気持ちをはぐらかされた。受け止めてもらえなかった……。
悔しくて、許せなくて、この三年間がむしゃらに働きました。でも……」


中谷さんは一度言葉を切って、迷いを断ち切るように顔を真っ直ぐ上向けた。


「……彼が結婚したって聞いて、本当はすごくショックだったんです。別れたのに、こんなに胸が疼く自分を認められなくて。
……でも、こうして顔を合わせて話をしたら、気付いてしまいました。
私はあの時の自分に後悔しています」


そう言った中谷さんの視線が、フッと響さんに向けられる。
ポカンと聞いていた須藤さん山形さんが、え?と顔を見合わせながら響さんに注目した。
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