ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
――……


外食ランチでオーダーを済ませて向かい合った途端。


「ちょっ、それどういうこと!?」


美砂子は目を剥いて声を上げた。


近隣のオフィスビル勤務の洗練されたOL達が、迷惑そうな視線をビシッと向けてくる。
慌てて人差し指を立てて、しーっ!と声を出すと、美砂子もハッと口を押さえた。


「声、大きいよ、美砂子っ!」


身体を屈めて小声で窘めると、美砂子はごめんごめん、と言って両手を合わせた。


「めぐと倉西さんが結婚した経緯は聞いててもさ、やっぱ、そこは心配してたのよ。
だって、あれだけ浮名を流してた倉西さんだよっ!?
その……むしろ毎晩大変なんじゃないかな~……って」


顔を真っ赤にして声を潜めながら、美砂子もちょっと身体を屈めた。


「だって、めぐ、ほとんど『未』に近いじゃん、恋愛経験……」


と、内緒話をするように付け加えられて、私も顔を真っ赤にしながら頬を膨らませた。


「でも、『未』経験じゃないもん!」

「倉西さんに比べたら、生まれたての赤ん坊みたいなもんじゃない」

「……まあ、ねえ……」


肩を竦めてグラスの水を一口含むと、思いの外気持ちが沈んで行く。


「なのに……その心配が全くないって言うのも……」


美砂子はどうフォローしていいのかわからないのか、語尾をユラユラ揺らしながら私を窺い見る。
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