ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
熱を帯びた身体。大きく乱れた呼吸。しっとりと汗ばんだ身体。
その全てが、少しずつ治まっていく。


心地いい気だるさにゆっくりと目を閉じた。


私をその腕にしっかりと抱き締めたまま、


「……インタビューで初めて会った時から、さ……」


響さんがボソッと囁いた。
その言葉の先を待って、私は虚ろな意識を繋ぎ止める。


「こうなること、願ってた……って言っても、きっとお前は信じないんだろうな」


その言葉に、私はゆっくり目を開く。


ベッドに片肘を立ててこめかみを支えながら。
響さんが、とても柔らかい瞳で私を見つめていた。


せっかく治まり掛けた鼓動が、また大きく動き出す。
それを意識しながら、私は響さんを見上げて、ニッコリと微笑みかけた。


「……信じますよ」

「どうだか」

「だって、私、今こんなに幸せだから」


響さんの瞳が、少し揺れるのを見つける。
それを見てフフッと笑って、私は響さんの胸に顔を埋めた。


求めて求められる幸せ。
愛して愛される喜びを知ってしまった今、私はちょっと前の自分に尋ねたい。


『愛される必要はない』なんて。
そんなこと、本気で言ってたの?って。
そんな悲しい想いを一生抱えて生きて行くの?って


今、私は教えてあげられる。


大丈夫。
本当に自分を大事にしてくれる人なら、心を全部受け止めてくれるから。


そうだよ、って、頷いてくれるように。
響さんは、私の肩を抱き寄せてくれた。
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