ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
いつもは聞いているだけで終わらせてしまうこの手の打合せでも、勇気を持って進言してみた。


外向きの内容じゃなくていい。
同じ銀行に勤める行員に向けた『職場自慢』
それがこの連載の目的だから、何もキリッとカメラ目線の支店長をビッグに扱わなくてもいい。


「私だったら、こんな写真が掲載されたら、楽しそうだな、仲良さそうだな、って、羨ましく感じると思うんです。
もしかしたら、他の支店や部署でもこういう繋がりが広がって行くかもしれないですよね」


そう言って微笑んだ私に、香川主任もちょっと目を丸くしていた。


それ、いいな、と呟いて、店内旅行の写真を目の高さに翳して、ジッと見入っていた。


何枚もの写真から数点ピックアップして、誌面のレイアウトを考える。
その間に原稿をチェックしてもらう。


キビキビと段取り良く仕事をこなしていたら、あっという間に定時を迎えた。
なんだかとても遣り切った感があって、程良い疲れを感じた。


いつもの私なら、急ぎの仕事も無いし、このままパソコンをシャットアウトして、デスクを片付けるところだ。


『お先に失礼します』


その一言だけ告げれば、別に誰も文句は言わない。


でも……きっと響さんも、まだまだ仕事に追われてるだろう。
デスクに向かう響さんの姿を思い浮かべたら、私のやる気も漲る。


もう少し残って行こう、と。
前に課長からリテイクを受けた企画書の修正を始めた。

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