麻美ちゃんと女好き王子
…………
電話を切ったあと、入り口まで行くとそこには本当に麻也くんが立っていた。
紺色のポロシャツに、普通のジーパン姿。
手には、帽子とマスクを持っている。
あぁ…もしかしたら、あの時コーヒーカップで見かけた人は、麻也くんだったのかもしれない。
その姿にあたしが安心しながら駆け寄ったら、麻也くんが言った。
「…フラれちゃったんだ?」
「うっさい」
「やーい、フラれ女ー」
そう言うと、憎たらしい笑顔で笑って見せる。
普通ならムカつくけど、あたしにはわかる。
麻也くんはこんなことを言いつつも、本当は慰めてくれてること。
ってか、
「ねぇ、告白の電話、聞いてないでしょ」
「え、」
麻也くんの言葉にあたしがそう言うと、麻也くんはびっくりしたようにあたしに目を遣った。
…だって、別にフラれたとかじゃないし。
(あの電話を切られるまでは)
ちゃんと聞いていたら、いろいろ聞くことがあるはずだ。
そう思っていたら、麻也くんがふっとあたしに顔を背けて言った。
「…何か、嫌だなぁって」
「?」
「麻美ちゃんの告白。応援してたのは本当だし、ここにあとつけてたのも麻美ちゃんを温かく見守るためで、心配だからってのもあったのに。
いざ告白の電話を繋げてほしいって言われたら、聞きたくないってのが本音で、形だけ繋げてた」