短編集
彼の大きな黒い傘が壁に立て掛けられていて、そこから滴る水が、床に小さな水溜まりを作っている。


別に珍しい光景でもない。


そして、私も彼もいつもと同じように本を開いていた…。




ガシャン…




もうすぐ彼の降りる駅…というところで鈍い音が聞こえた。


そして、同時に電車が急停車した。


すでに駅近かった…ということもあり、スピードはすでに落ちていたのでさほど大きな衝撃はなかった。


が…。



突然の出来事だったため、体の揺れとともに、指に軽く挟んでいただけの栞が落ちていった。

< 8 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop