ヒスイ巫女3
「陸、ヒスイ見たか?」
「いや知らねえ。」
「雨ひどくなってきたのに外に出てるかも・・・ちょっと行ってくる。」
蛍はムーブメントを使った。

雨の中ヒスイは丘の下を座って見ていた。
そこの下は崖。
ヒスイが急に立ったかと思うと崖の方へと歩き出した。
ゆっくりとためらいもなく前に進んでいく。
鳥のように空を飛ぶように・・・
ヒスイは崖から落ちた。

バッ
ヒスイが浮いたその瞬間背後からの手がヒスイの身体をとめた。
その手の持ち主は…
「スイ!大丈夫か?」
蛍であった。
ヒスイは蛍をボーと見ている。
目に力がない。
「私いなくなった方がいいでしょ。」
ヒスイは蛍や陸に自分のせいで迷惑をかけていると思っている。だからこそ自分をいなくそうとしていた。
ヒスイはその言葉を言うとまた崖に飛び込もうと近づく。
蛍がバッとヒスイをまたとめた。
「ヒスイ!
いなくなるとか言うな!ー「私知ってるんだからお兄ちゃんも蛍も蒼のお墓の前で私の事言ってた事!」

「ヒスイ・・・俺はお前がどんなに嫌な人間になろうと犯罪者になろうとも一緒にいたい。
お前がどんなに嫌がっても俺は離れない。
俺はヒスイが大切なんだ。
お前が思ってる以上に大切なんだ…
お願いだからいなくならないでくれ…お願いだ…」
か弱い声で蛍は泣いていた。
ヒスイを抱きしめながら・・・
蛍はヒスイの身長をとうの昔に、こしていた。
あんなに弟みたいだった蛍がヒスイを支えてる。
ヒスイは抱きしめられながら泣いていた。
蒼が亡くなってから1度も泣かなかったヒスイが蛍の肩をかりて泣いていた。
その泣き言が聞こえると蛍はヒスイをもっと強く抱きしめた。
泣き言に混じってヒスイが話しかけてきた。
「蛍、わたしここにいていいのかな?」
か弱い声で聞いてくる。
「当たり前だ。ヒスイは俺達の宝物だ。いていいに決まってる。」
蛍ははっきりと答えた。
「ヒスイは気づいてないと思うが俺達にとってお前は太陽だ。俺達を照らしてくれる太陽だ。でもな、それだけでお前を大事だと思ってるわけじゃない。お前がいたら俺達はなんか安心する心が落ち着く。それに兄貴が言っていた。(俺はヒスイの温かい雰囲気が好きだ。だから俺はヒスイが婚約者って言ってくれたのは素直に嬉しかった。)
俺もお前が好きだ。」
微かに微笑んでいた。
ヒスイは話をききながら蛍の成長に驚いていた。
蛍が頼れるお兄さんのような気がしていた。
だから
「そろそろ帰るか。このまま雨にうたれてたら風邪ひくしな。」
蛍はヒスイを離した
だが、ヒスイは蛍の袖を引っ張った。
「もう少しだけこのままでいさして。」
ヒスイは蛍に抱きついていた。
少し震えている。それだけ恐れるものがあるという事だった。何故か蛍に甘えたい。今日ぐらいは少しぐらい・・・
蛍は何も言わずにヒスイを黙って抱きしめていた。
ヒスイを雨から守るだけであった。
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