アイザワさんとアイザワさん

バカなのは、私だ。
どうして彼の気持ちが分からない、なんて思ってしまったんだろう。


相澤は、私のことを想ってくれていたんだ。
いつでも『好きだ』と伝えるようにキスをしてくれていたのに……


枯れた花にいくら水を与えても何も育たないように、私の心には相澤の気持ちはちゃんと届いてはいなかった。


彼の気持ちを聞いてもなお、彼の気持ちが自分に向かなくなったのが『寂しい』と思うだけで、自分の気持ちはどこにあるのか分からないなんて……


分からないのは相澤の気持ちじゃない。自分の気持ちだ。



私は、ほんとうに、バカだ。



でも、もうこれだけは誤魔化せない。


心の箱が……開かれようとしていた。
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