アイザワさんとアイザワさん

シフトが終わると相澤が「……これから行くんだよな?」と声をかけてきた。


「はい。一緒に行ってくれますよね?」


並んで店を出た私達は、お互いに手を伸ばして自然と手を繋いだ。柔かくて温かな感触に心がほっとする。


一人でも行くつもりだったけど、二人で会いに来れてよかったと思う。


きっとおばあちゃんも喜んでくれている。


私は、おばあちゃんが亡くなってからはじめて命日にお墓参りに行くことができた。


***

お寺の隣にある墓地に入り、少し奥まった所にあるお墓に向かって進んでいく。


手を繋いでいるとはいえ、迷うことなく進んで行くのを見て夏にお墓に来てくれたのはやっぱり相澤だったんだと思った。


「どうして8月に来てくれたんですか?」


そう聞くと「お前は盆には行かなかったのか?」と逆に聞かれてしまった。しばらく誰も訪れていないお墓を見て驚いたのかもしれない。


私は『家族』に会いたくないからいつもお盆を過ぎてからここに来ていることを説明した。


相澤はお盆だと私や家族の誰かに会ってしまうと思ってあの日にしたらしい。私達が同じ日にお墓参りをしたのは偶然だったけど、おばあちゃんが引き合わせてくれたのかな、と私は何となくそう思った。
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