アイザワさんとアイザワさん
考えがまとまらずに黙りこんでしまった私に茜さんは、
「まぁ……私の意見だから強制するワケじゃないけど、帰ってしっかり考えなさい。店長、確か今日夜勤よね?少なくとも一晩はゆっくり考えられるでしょ。」
玲くんも眠くなってきたのかちょっとぐずり始めていて、それ以上話を続けられなくなった私達はファミレスを出てそれぞれの帰路についた。
***
「初花……明日仕事が終わったら家に行ってもいいかな?」
相澤からそんな電話がかかって来たのは、20時を回った頃だった。これから出勤の準備をするんだろう。
私はそれまでずっと昼のことばっかりを考えてしまっていて、何をする気にもならず、ぼんやりとベッドに座りながら憂鬱な気持ちに沈んでいた。
いつもなら嬉しくなるはずのその電話も、憂鬱な気分に拍車をかけた。
……今日は日中出かけていて、疲れてるんじゃないんですか?
明日だって……私の朝日勤が終わるのを待ってから会いに来るなんて、ますます疲れるだけでしょう?
今日一緒にいたあの女(ひと)は誰なんですか?
頭の中で思った言葉は何一つ口にすることができなくて、心はどんどん沈んでいった。
「ごめんなさい……明日は仕事が終わってから用事があるんです……」
こんな気持ちで会ってしまったら、きっと心にたまっている黒い感情を簡単に吐き出してしまう。それが怖くなった私はとっさに嘘をついた。