アイザワさんとアイザワさん
回りくどい話なんて、したくなかった。
「私は……自分でも自分のしたことが許せなくて、家を出てからも、ずっと後悔しながら暮らしてきたの。源ちゃんや生方さんに支えられてなんとか立ち直って……樹さんに出会って、やっと『後悔』しなくていいんだって、そのまま過去の傷も受け入れていいんだってそう思えたの。」
「だから、私はもう『後悔』したくない。後悔したって時間は戻せないし……だから私からお父さんやお母さんに謝ることはもうないの。そういう言葉を望んでるなら、これ以上話すことはないと……思う。」
私の言葉は間違いなく伝わっただろうか?
両親にとっては酷い言葉を言ってしまったのかもしれない。謝らない、と私は言ったのだから。
「初花……許してもらおうなんて思ってないんだ。でも、どうしても謝りたかった。」
だけど、次に発したお父さんのその言葉を聞いて私の中に混乱の気持ちだけが広がっていった。
『謝りたかった』?……どうして今さら?
それに、私が謝るんじゃなくて、お父さんが謝りたいの?
それに……謝るのなら、謝って欲しいのは……
話し合いたいのはお父さんだけじゃないのに。
「……謝るのは孝さんだけじゃないだろう。」
私が話を初めてから、黙っていた源ちゃんがその言葉を聞いて静かに口を開いた。
「佐知子ちゃん。初ちゃんは優しいから……あんなに酷い仕打ちをされても恨みを直接佐知子ちゃんにぶつけることもできずに、今まで健気に頑張ってきたんだ。今だって初ちゃんから話を切り出してくれたのに……佐知子ちゃんはそれでいいのかい?」
みんながお母さんに視線を向ける。
お母さんはうつ向き加減で……それでも黙ったままだった。
沈黙が広がっていく。
居間は重苦しい雰囲気に包まれていった。