アイザワさんとアイザワさん
それからしばらくは『Milky Way』のケーキを囲んで他愛の無い話をした。
私達の近況は全て源ちゃんが知っているから、話が止まりそうな時には源ちゃんがうまく間に入ってくれて重苦しい雰囲気になることも無く、ただ時間は過ぎていった。
私は『両親』と向き合うまでは、もっと動揺してどうしようもなく心が乱れてしまうのではないのかと思っていた。
久しぶりに家で両親と過ごしている今の時間はとても穏やかで温かかったけど、それを心地よい時間だとはどうしても認めたく無い自分がいた。
それに、こうしていると……5年前の出来事を嫌でも思い出してしまう。
どんなに源ちゃんが取りなそうとしても、最後におばあちゃんの側に居させてもらえなかったことを。
この居間から腕を引っ張られ、玄関から追い出されたことを。
私の部屋から、庭に落とされて散らばった荷物を泣きながら拾い集めたことを。
心が軋んで砕けてばらばらになって……静かに『私』が壊れていったことを。
あの出来事を全て無かったことにして『家族』に戻ろうとしているのなら……私には納得することが出来ないし、戻れる訳がないと思う。
その思いは、どんどん膨らんでいってとうとう口から溢れだした。
「ねぇ、お父さん……お母さん……どうして突然『帰って来い』なんて言ったの?」