アイザワさんとアイザワさん
「気ぃ遣って謝らなくてもいいよ。…とにかく『こいつ』呼ばわりした訳を教えてくれよ。」
ちょっと拗ねたようにムスッとしながら口を尖らせて話す樹さん。朝のやり取りがよっぽどショックだったらしい。
私だって昨日からもやもやして、いろいろ言いたいことがあったんだけどな…と思いつつも、きちんと順を追って話すことにした。とにかく自分の気持ちを知ってもらわないと会話が始まらない。
「樹さん…樹さんは、私に子どもができたかもしれないって思った時、嫌でしたか?ほんとうはどう思ってました?」
「私は、昨日子どもは出来てませんって言った時に樹さんがほっとした顔をしたのが…ちょっとショックでした。樹さんは私と『家族』になりたいって言ってくれたけど…子どもは欲しくないんですか?」
私の言葉を聞いて少しだけ、樹さんは考え込むような表情になった。私は黙って彼の言葉を待った。
しばらくして、言葉を選ぶように、少しずつ樹さんは話し始めた。
「もちろん、子どもは欲しいよ。俺は、お前と『家族』になりたいって言ったんだぞ。今すぐにでも結婚したいし、子どもだって……いつかは産んでほしい。」
「でもさ、二人きりの時間だって大切にしたいし、子どもができたら出産と育児に追われてやりたい事があっても両立するのは難しいだろ?子どもを育てるのは一緒に出来ても、産むのは手伝ってあげられないからな。」
「それにさ、ずっと考えてたんだけど……初花は、他にやりたい事があるんじゃないのか?」
その言葉にドキリとする。