アイザワさんとアイザワさん
「まぁ一生は長いんだから、ちょっとずつ知って行けばいいんじゃないか?初花は…最初は俺の名前だって知らなかったもんな?」
それに比べたらな。樹さんは相変わらずニヤリとした笑顔を見せてそう言った。
…やっぱりこの人には勝てないや。
でもこの人はどうやら私を手放す気はないようだ。
側にいることに喜びを感じて、たまにバカだな、なんて言われてこの人の手の平の上で一生転がされるようにして生きていくんだろうなぁ…
お互いの気持ちはわかっているから、焼きもちを焼くだけムダだね。
私はにっこりと笑って樹さんの手のひらにそっと小さな包みを乗せた。
「これ…何?」
「開けてみてください。」
これは私の心を救ってくれて、愛してくれたあなたへの私からの精一杯の気持ち。
樹さんが包みを開けた。
手のひらにオレンジ色の鍵がころん、と転がった。
「これって…」
「…合鍵です。樹さん、いつもここに来るときに電話やメールくれますよね?そういうとこ、きちんとしてて好きなんですけど…そんなに気を遣わなくても大丈夫ですって伝えたくて。」
「私が樹さんと一緒にいたいんです。付き合い初めてから二人きりの時間が減っちゃったじゃないですか。だから、たまにでいいんです。…私の帰りを待っててもらいたいなって。」