アイザワさんとアイザワさん

角度を変えながら深くなるキスを受け入れると、すぐに口唇を割って熱い舌が入って来て、舌先を絡め取られた。


「……甘いな」


そう言われて、背中へと回された手がゆっくりと動き始めたその瞬間……

いきなり樹さんはキスをやめて、ばっ、と私から身体を離した。


目を閉じてキスを感じていた私は、えっ?と驚いて目を開ける。


「なぁ……初花。お前…………何食べたんだ?」


その唐突な質問にキスでぼんやりしていた頭がついていかず、何度か瞬きをした。


目の前に見える樹さんの顔がほんの少しだけ赤くなっている。


えっ?……何……って…………あっ!



あーーーーっ!!


「樹さん!ごめんなさい!!私、トリュフ食べちゃったの!!」


……そう、『Milky way』で小山さんからもらった秘密の小箱。

ショコラティエさんに変身した小山さんが私にくれたのは……ラムレーズンとラム酒がたっぷり入った『私専用』のトリュフだったのだ。


「…………トリュフ?」


訳が分からない、と言った様子で止まってしまった樹さんに、私は今日の『Milky way』での出来心……


……じゃなくて、出来事を語った。



一通り話を聞いて、樹さんは「ちっ」と思いっきり舌打ちをして「小山め……」と呻くように言うと……


「ごめん。限界。……眠い」



そう言って倒れこむようにベッドに眠ってしまった。


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