アイザワさんとアイザワさん

そう言いながら私の肩にぽん、と手を置いた。
一人っ子で、おじいちゃんおばあちゃんももういない私にとっても、源ちゃんはおじいちゃんのような存在だ。

「ところで、初ちゃん。初ちゃんは短冊、何て書いたんだよ?」

私は無言で集めた束の中から自分のものを抜き出し、渡す。

「『信頼』?これだけか?えらい簡単じゃねぇか。」

「もう一回地元の人達に信頼して欲しいの。お店変わっちゃったし……相澤のせいで、私影薄くなっちゃったから。」

その言葉を聞いて源ちゃんはゲラゲラと笑った。

「おい、だらだら片付けてると間に合わないぞ。」

後ろから声をかけられた。

「あ、店長……」

そうだった。これから鞠枝さんの送別会があるんだった。時計を見ると、シフト終わりまで20分を切っていた。


「お前はバカだな。ちゃんと仕事しないと、ますます『影が薄く』なるぞ。」

……うわっ、今の会話まで聞かれてた!!

「すっ、すみません!!」

あわててゴミ袋に外した飾りを突っ込む。

「ところで、樹ちゃんは短冊何て書いたんだい?」

私は無言でオレンジの短冊をすっ、と取り出して源ちゃんに見せた。

「『人望』かい?初ちゃんに負けず劣らず、シンプルだねぇ。」

源ちゃんの言葉に、まぁ、手が届かないものもあるってことですよ。と意味深に相澤は答えていた。
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