アイザワさんとアイザワさん

「で、お前の『心の恋人』はあの人か?」

相澤が私に聞く。

……声大きいってば!

「初花さんっ!小山さんのことも好きなんすか?!どんだけ浮気性なんですか!」

それを聞いて、木村くんが手を目に当てて『えーん』といった感じで泣き真似をした。

いい歳をした男の子のリアクションとは思えないけど、木村くんがすると可愛く見えるから不思議だ。


しかし、木村くんが次に言った一言に私は固まった。


「ずるいっすよねー、初花さん。俺の告白はさらっとかわしといて、格好いいお兄さんキープしながら小山さんにも、とか。」


わ、わ、わ、何言い出すのよ!!


「え?何、お前。初花ちゃんのこと好きだったの?」そう楽しげに聞いた陽介さんの横で、木村くんはあっさりと「そうっすよ。」と言った。


確かに、私は木村くんに告白されたことがあった。でもきちんと断ったし、もう一年も前の話だ。もうすっかり私の中では『過去』になっていた。


……それなのに、まさかこのタイミングで蒸し返されるなんて。


「へぇー。で、どうなんだよ?ほんとのとこは?」そう楽しげに聞いて来たのは、もちろん相澤だ。

やっかいな人に知られてしまった……
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