アイザワさんとアイザワさん

私と馨さんとのことを知っている人がいる……それだけで心臓が騒ぎだした。

「黒瀬さん。俺、羽浦駅前店の店長になったんですよ。で、こいつは副店長。」

黙ってしまった私を見ると相澤は黒瀬さんに説明するように話してくれた。


「あれ?生方さん辞めちゃったの?経営。お前んとこ、オーナーは叔父さんだったよな?」


細かいところまで知っているところを見ると、相澤が前に働いていた店のエリアマネージャーも黒瀬さんだったようだ。


そして、自分から聞いておいて相澤との会話をへー、と興味無さげに流した黒瀬さんを見て、この人のこういう所が苦手だったんだよね、と思い出した。自分の興味があることにしか関心がなく、場を引っ掻き回すその性格がどうしても好きになれなかった。


面倒だな、そう思った瞬間に黒瀬さんの『興味』が自分に向いた。


「初花ちゃん、ますます綺麗になったねー。」

「はぁ……どうも。」

「相変わらず冷たいんだから。彼氏に嫌われちゃうよー。」

……こういう場でも構わずにずけずけと入り込んでくるような会話をする所が嫌だった。


相変わらずだな、と思った瞬間、黒瀬さんは遠慮なく私が嫌がる話題を出してきた。

< 99 / 344 >

この作品をシェア

pagetop