理屈抜きの恋
「撫子は恋愛経験不足だからね~。」

「好きだと思ったら告白するものなの?」

「そういうわけじゃないけど、早くしないと誰かに取られるよ?副社長、モテるんだから。」

それは重々承知している。

「でもさ、純愛には見返りを求めない愛っていう意味もあるんだよね。」

もしも副社長に好きな人がいるのなら、それを応援してあげるのが愛のような気もする。
副社長に好きな人がいるかどうかは分からないけど。

「撫子はさ。見返り欲しくないの?」

「出来ることなら欲しいけど…。」

「それなら純愛に捕らわれないの!大体ね、純愛はご両親の撫子への想いなんだから、撫子の恋愛には関係ないんだよ?」

確かに名付け親は両親だけど、名前の由来は花言葉からではない。
もちろん無償の愛情を注いでくれてはいるけど、花言葉は自分の恋愛の信条にしてきた。
すぐには手放せない。

「あのー今、調べたんですけど、純愛には肉体関係を伴わない愛って意味もあるようですよ?撫子さんはそこも守るつもりなんですか?」

「肉体関係ってキスも含まれる?」

「まぁ。そうでしょうね…って、まさかもうしちゃったんですか?」

不意打ちだ、合意の上ではない、と伝えても、真美ちゃんと細井さんは異様に盛り上がってしまい、話しを聞いてくれない。

「もう純愛じゃないんですから、このまま突き進みましょー!」

ノリノリな細井さんのテンションにつられてハイタッチしたけど、前途多難。

どうしたら良いか、益々分からなくなってきた。


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