理屈抜きの恋
「うん。今日、もしかしたら君に会えるかもしれない、って思ったらいても経ってもいられなかった。」
イケメン特有の色気を含んだ視線を送られるとドキっとしてしまう。
でも、副社長のように視線を外せなくなるほどではないし、身体の自由だって奪われない。
やっぱり私にとって副社長は特別な人なんだ。
理屈でコントロール出来ない気持ち。
それが今、よく分かった。
「すみません。私、本宮副社長の事が好きなんです。」
「うん。いいよ。分かっていたことだから。でも、涼のやつ、むかつくな。こんな美人に好かれてさ。ちょっと懲らしめてやるか。」
「え?」
にやりと笑うと鵠沼さんは私の手を取り、副社長室目掛けて一気に歩を進めた。
「あ、あの。私まだ心の整理が…」
「そんなの多分、涼も同じだよ。」
「同じ?」
「今日、俺がここに来ることを涼は知っている。ちなみに俺が君を気に入っていることもね。」
どういう意味か聞こうとした時、副社長室の前に着いてしまった。
そして繋いでいた手が離され、ドアの前でいきなり抱きしめられた。