理屈抜きの恋

「ちょっと?鵠沼さん?!」

「神野さん、いい匂いするね。」

「はい?」

「あーやっぱりこのまま奪っちゃおうかな。」

少し大きめに声が響いた瞬間、副社長室のドアが開き、ものすごく不機嫌そうな副社長が現れた。

「何をしている?」

「あれ?涼?もしかして聞こえちゃった?」

「お前、扉を少し開けただろ?何がしたい?」

「宣戦布告?」

そう言って首を傾げおどけて見せていたけど、私を抱き寄せている腕の力は弱まることはなく、見上げた時に見えた目は真剣だった。

「彼女を離せ。」

「どうして?涼のものじゃないでしょ?大体、涼が悪いんだよ。俺のタイプの女性像を知っていながらパーティーに連れて来るんだから。」

「いいから離せ。」

「この子、本気で貰う。」

「ダメだ。渡さない。」

副社長の苛立ちとともに腕を引かれ、鵠沼さんから離れる。
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