理屈抜きの恋
全員が書けたのを確認したら、会場内にいる人の名前が書かれた紙を新郎新婦が引き、人の名前を元にビンゴゲームを行う、というルールのようだ。

つまり、ビンゴゲームを成立させるには最低8人に声を掛けなくてはいけない。

非常にめんどくさいシステムだけど、男女間の接点を無理矢理作る、いわゆるゲームという名の集団合コンに周囲の独身者は気付き、色めき立つ。

そしてスタートの掛け声とともに一斉に動き出した人の波に乗り、一縷の望みをかけて私も動き出す。

でも、現実はそんなに甘くない。
私に声をかけてくれたのは課長、係長、部長、主任、既婚者×3。

ゲームの趣旨にそぐわないメンバーの名前が書かれた紙を見ればやっぱり現実はこんなものだ、と思ってしまう。

同期の誼で声を掛けてくれないかな、と最上くんの方を見てみるけど、相変わらず女性に囲まれている最上くんが来てくれる気配はないし。

ゲームに参加するためにはどうしてもあと一人必要なのに。

最上くんの元に自分から行くのは有りだろうか?

いや、でも、そこには最上くんの事を前々から狙っている先輩が陣取っているから、近づくべきではない。
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