理屈抜きの恋
仕方ない。
こうなったら誰でもいいから名前を書いてくれそうな人を探そう。

そう思ってその場から少し移動してみると、一人の男性に目が留まった。

パッと見でイケメンだと分かるその男性は最上くんと人気を二分するかのように周りに女性を侍らせている。

でも、バリバリにセットされている髪型と足先がやたら長く尖った派手目な靴と、派手な柄のネクタイ、銀色のスーツのせいで私にはホストにしか見えない。
でも…

「生ホスト、初めて見たかも。」

知り合いにはいないし、お店に足を運んだこともない。
私の中でホストとは、芸能人と同じ系列に属されている。
だから、ホストを目の当りに出来るなんて、それこそ芸能人を見たような感覚だ。

「オーラがすごい。」

本物はその纏っている雰囲気が他の人と明らかに違う。
あれだけ気合いを入れて着飾っている女性たちが霞んで見えるなんて。
会場内で勝てるとしたら、髪を盛りに盛ったキャバ嬢的な細井さん位だ。

ただ、あんな人、初めからいたかな?

新婦の関係者で男性は上司か後輩だけのはずだから新郎の同級生か関係者だとは思うけど、初めからいたなら気が付いても良さそうなのに。
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