理屈抜きの恋
「男女間の、特に恋愛に関しては傷付く事なんていくらでもある。誰かが幸せになればその裏で泣いているヤツもいるんだ。」

それは頭では理解しているけど、心が理解出来ない。
人を傷付けてまで幸せになるなんて、心から幸せを感じることにはならないから。

「大体、最上は自分で先輩と付き合う事を選んだんだろう?」

「多分。」

「多分?」

「その辺の詳しい事は分からないんです。ただ、真美ちゃんは幸せそうには見えないって言っていました。」

「だから言ったのに。」

「え?」

「ほら、あのキスの話だよ。俺ならキスはしないって言ったやつ。覚えているだろ?」

ファーストキスを奪われた時の事だからよく覚えている。
その時、最上くんが副社長の言動に気に障って怒ったのも。

「振られたのにも関わらずキスなんかして貰えたら、普通、期待するだろ?付き合って、って何度となく言えば叶うんじゃないか、って気にもなるさ。事実、付き合えているし。」

それは最上くんなりに私を守ろうとしてくれた結果だと本人が言っていた。
でも、副社長が言うように脅しが効いたから要求をエスカレートした可能性も考えられる。

私なんかを好きにならなければ違う未来があったのかもしれないのに。

「どうしたら…」

最上くんは大事な同期だ。
入社当初、私の親父的な趣味を広めてくれたのは最上くんで、そのおかげで年配の方たちと懇意にさせて貰っている。

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